鳥の餌の飼料添加物

鳥の餌の袋に飼料添加物が記載表示されているが、果たしてどんな効果が期待できるのかを調べてみました。特にアルミナケイ酸水和物(HSCAS)・乳酸菌、・オリゴ糖の添加による効果について検索してみました。アルミナケイ酸水和物(HSCAS)はカビ毒を化学的な吸着力を有する飼料用鉱物製剤です。 カビ毒の一種のアフラトキシンは,1960年英国で起こった10万羽以上の七面鳥の中毒事件を発端として発見されたマイコトキシン(カビ由来の毒素の総称)で,強い毒性と発がん性を有している物質である。天然物質の中で最も発がん性が強いことと,世界的に見て農産物への汚染が広く発生している。アフラトキシン産生菌として報告されたものは多岐にわたっているがAspergillus flavus ,A. parasiticus及びA. nomiusの特定の菌株が注目されている。A. flavus菌群は,世界中の土壌,空気中から検出される一般的な菌であるが,アフラトキシンを産生する菌株には地域的分布に差がある。それはアフラトキシンの農産物汚染が南米,アフリカ,東南アジアに多く発生しているアフラトキシンの自然汚染では,ピーナッツ,トウモロコシ,ブラジルナッツ,棉実に良く認められるが,大豆,小麦,大麦,燕麦,ソルガムはかなり汚染の可能性が少ない。https://haccp.shokusan.or.jp/…/inform…/chemical_factor/mold/アフラトキシンは飼料の穀物中に見出される。最も毒性が高いのがAFB1で、代謝障害と肝臓障害をを起こし、低成長をおこし、また動物由来の製品中に毒素が残留する。従って、AFB1の毒性を中和する方策の発見が、動物の栄養学での最優先課題となっている。HACASのような吸着材の使用は従来より行われてきた。吸着剤はしかし、栄養素も吸着するので無制限に与えられない。糞便中のAFB1の残留が環境への二次的汚染原因として知られてきた。多種類の細菌の検索結果から、乳酸菌は、動物に使われると消化管内の細菌叢を改善する事が知られている。乳酸菌はカビ毒類の自然な生物的拮抗作用を持ち、その毒素を代謝できることを見出した。従来の試験管内の研究では、乳酸菌は液体中のAFB1の80%を除去できるとされていた。またAspergillus flavusの生育を阻止し、トーモロコシの練り物中のAFBを44.64%以下に分解する事が知られている。ブロイラーの飼料中に乳酸菌lactic acid bacteria(LAB)と吸着剤の「アルミナケイ酸カルシウム」(HSCAS)を添加するとカビ毒のアフラトキシンB1(AFB1)が減量detoxicationする事が知られている。成長曲線、消化率、免疫能、組織および排泄物中の毒素の残留量を測定する事でその効果を研究した報告によると、体内に残留するAFB1が低値を示すことを明らかにした。その結果、良好な発育、消化能力と免疫機能の向上を示し、AFB1の毒性の減弱効果と体内残留量を減らすことが知られた。特に乳酸菌の添加はHACAS単独よりも著しい効果をもたらした。また抗菌性物質の代わりに乳酸菌およびオリゴ糖を飼料に添加し、発育状況の調査や免疫反応の研究がしきりに行われている。http://www.naro.affrc.go.jp/…/seika/kanto17/04/17_04_37.html、抗菌性物質無添加飼料1kgに対し乳酸菌(Lactobacillus casei subsp. casei)を107 CFU(生菌一千万個)、オリゴ糖を50mg添加した乳酸菌区と抗菌剤使用群とで比較試験すると、ニワトリの名古屋種28羽(雄)を1群として120日齢まで飼育した。飼料要求率では乳酸菌区は抗菌剤区と同程度で差がなかった。抗原接種に対する1週後の抗体のピークは2倍以上高く獲得することから、生体体重の増加は両軍で変化はないが、抗体産生能や遅延型過敏反応の結果から免疫増強作用がみられ、乳酸菌およびオリゴ糖の添加が効果的であると報告しいている。多くの市販製剤にはラクトバチルス(乳酸菌)が使われる。以上のように小鳥の飼料中に乳酸菌、アルミナケイ酸カルシウム、オリゴ糖を加えることはカビ毒をを軽減することの効果がある事が判明した。飼料1kgに対し乳酸菌(Lactobacillus casei subsp. casei)を107 CFU(生菌一千万個)、オリゴ糖を50mg添加のように科学的根拠のある濃度添加されている事が重要で、アルミナケイ酸カルシウムは飼料中に0.5%以内とする。しかし、市販の餌の袋ににはこれらの配合濃度が記載されていることは稀である。法律で規制して、飼料の栄養分析値および添加物の濃度表示は必要と思われる。臨床的には、検便時に飼料中のカビと由来と思われる菌糸と胞子が詰まった分生子は消化されないので発見される機会が多い。写真1は糞便中の菌糸で、ある幅があり、隔壁を持つ特徴がある。写真2はわずかに菌糸の端が見えて、これにも隔壁が確認できる。写真をダブルクリックして拡大すると、濃く見える消化器成分の辺縁に菌糸が多数あるのが見える。これは、収穫期までに穀物が雨で濡れると穀物の表面にカビが発生することと、貯蔵中に湿気に会うとカビが発生することによる。したがって、こうしたカビ毒を減量作用のある飼料添加物質は有用であると考えられる。もう1点、ある市販の飼料には、食用色素で緑、赤、黄、ピンクに着色された麦や、粟が混ぜられている。ビタミン類の中で、ビタミンB2とビタミンB12は前者が黄色、後者がピンク色をしている。発色している物質は構造的に不安定で、すぐに壊れる。B2の黄色は2ないし3日で薄くなって、無色化し、ビタミンの効果がなくなる。飼料の着色はおそらく、購入者にこれは何か特殊な栄養素やビタミンを添加してあることを暗に示そうとし、購入意欲を高める戦略のように見える。着色されている飼料を見るたびに不快に感じている。

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